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【東京大学 駒場コミュニケーション・プラザ】
 
 
設計者 建築施工者 建築主
鹿島建設(株)一級建築士事務所
(株)類設計室
鹿島建設(株) 国立大学法人 東京大学
 
■建築概要  
建設地 東京都・目黒区
RC造、一部S造
大学
延面積 9813.93m2
 
■審査評
 本作品は、東京大学駒場キャンパス内の旧駒場寮や寮食堂が建っていた場所に、PFI事業を通じて、食堂や購買部などの福利厚生施設および学内外交流の教育研究施設として建てられた。キャンパス中央を東西に貫く銀杏並木の突き当たりに大屋根を伴った開放的なエントランスゲートプラザを設け、そこを中心にして北棟と南棟をL型に配置し、それらが既存の図書館と一体になって、中庭空間を形成する。中庭の東端には、和館も併設されている。中庭回りでは、列柱と深い庇が設けられて中庭周りの外観の統一感を生み出すと共に、快適な動線および憩いの空間を提供している。また、中庭内には、旧駒場寮の玄関ポーチの一部がオブジェとして保存され、旧駒場寮の柱の位置の床に太
陽電池LED照明器具が埋め込まれることで、長年この場所に駒場寮が存在したという、キャンパスの記憶と歴史が暗示されている。
 この施設が完成することによって、キャンパス内の豊かな緑と、東に向かって緩やかに下る地形の微妙な変化が、より一段と感じ取れるようになった。これは優れた配置計画の成果であろう。
 以上、この作品は、軽快な現代デザインの建築にキャンパスの記憶を取り込みつつ、良質な大学施設と快適なキャンパス空間を作り上げることに成功している。これらの点が高く評価され、一般二類の最優秀賞に選ばれた。(小林 克弘)