SUPPORT 業務報酬算定基準
建築士事務所の業務報酬算定基準について解説しています。
平成31年1月21日に国土交通省から「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準」として告示第98号が出され、これまでの基準であった平成21年国土交通省告示第15号は廃止となりました。
ㅤ略算方法による場合の告示別添3の別表に明示のない「人・時間数」の算出方法や、標準的な人件費の参考資料など、詳しい内容は当協会の発行する「建築士事務所の業務報酬算定指針」をご覧下さい。
業務報酬の算定方法は「実費加算方法」と「略算方法」の2つに大別される。実費加算方法は基本的に旧基準と同様だが、略算方法はその業務量の算定基準や人件費の扱いが大きく変わった。
旧15号と原則的には同じで、以下に掲げる各経費を積み上げたものとなる。
- 給与、諸手当、賞与、退職給与、法定保険料等を含む。
- 出張旅費、特許使用料その他の建築主の特別の依頼に基づき必要となる経費。
- 印刷製本、複写費、交通費等。
- 建築士事務所を管理運営していくのに必要な人件費、調査研究費、研修費、減価償却費、通信費、消耗品費等。
- 設計の業務において発揮される技術力、創造力等の対価として支払われる費用。(目安としては直接人件費の50%程度としていますが、技術的助言(平成31年1月21日国住指第3418号4)にあるように当事者間による協議によって定めるのが適切です。)
告示第98号による標準業務内容を行う場合に適用できる。
- 告示第98号別添3別表の建物用途及び延べ床面積から「人・時間数」を算出し、各事務所の実情に応じた時間あたりの人件費(一級建築士として2年又は二級建築士として7年の建築に関する業務経験を有する者(告示第98号別添三の6より))を掛けて求める。
※別表の面積区分はかなり大まかだが、当協会発行の「建築士事務所の業務報酬算定指針」ではその補間式を掲載している。 - 給与、諸手当、賞与、退職給与、法定保険料等を含む。
- 出張旅費、特許使用料その他の建築主の特別の依頼に基づき必要となる経費。
- 直接人件費に「1.1」を標準とする倍数を掛けて算出する。
(経費内容は実費加算方法と同じ)
- 設計の業務において発揮される技術力、創造力等の対価として支払われる費用。
(目安としては直接人件費の50%程度としていますが、技術的助言(平成31年1月21日国住指第3418号4)にあるように当事者間による協議によって定めるのが適切です。)
略算方法で業務報酬を算定する場合、原則として告示第98号の標準業務全てを行うことが基準となっている。実際の業務では不要な業務や逆に標準業務に含まれない業務も発生する。
- 告示第98号別添1に掲げる業務内容及び成果図書を作成する業務で、略算方法による場合はこの業務内容全てを行うことが基準となる。
設計業務の内容が変わってきています。省エネ等の対応は標準業務となると思われますが、現状では考慮されていませんので、当面標準外業務として考慮する必要があると思われます。
- 上記標準業務内容に含まれない業務で、具体的には業務内容や業務量に著しく幅のある業務で、基本設計や実施設計として通常行われない業務。
- 告示第98号別添4に掲げる業務。
人件費は各事務所の規模や体制、地域性などによりかなり異なってくる。ここでは人件費の基本的な考え方と、想定条件による時間当たりの人件費の算定例を示す。
※経験豊富な技術者が同等の業務を行った場合、業務時間数は少なくなるが、当然時間当たりの人件費はより高額となる。告示別添3別表の「人・時間数」はそれを前述の技術者ランクの業務量に換算したものである。
告示別添3別表の「人・時間数」に掛ける時間当たりの人件費の算定方法は以下のような要領となる。
技術者ランクについて、2020年度までは日事連の区分ランクを採用していましたが、発表されなくなりましたので、国交省技術者区分{技術者C」を対応技術者としました。令和4年では日額32,800円となっています。
※あくまで前述の条件による算定例であり、各事務所の規模や体制、地域性などにより実情に合わせて算定しなければならない。